
株式投資は副業扱いになることあるの?



副業禁止でも副収入を得る方法が知りたいんだけど
「会社員や公務員が株式投資をしたら副業になるの?」という疑問を持つ方は多いです。
実は、株式投資は基本的に副業ではなく資産運用として扱われるため、禁止されている副業には当たりません。
本記事では、具体的な根拠と事例をもとに、株式投資が副業扱いになるかどうか、勤務先にバレる可能性と防止策について解説します。
株式投資は副業に当たるのか?
結論から言うと、会社員や公務員が行う株式投資は副業には当たりません。
株式の売買による利益や配当金は「労働の対価として得た報酬」ではなく、「資産運用による収益」として扱われるためです。
ここでは、会社員・公務員それぞれの立場から見た扱いと、副業と資産運用の違いについて解説します。
そもそも「副業」とは何を指すのか?
公務員の法律の考え方を踏襲すれば、無許可での副業が禁止される範囲は、
- 労働の対価として報酬を得る行為
- 自ら会社を営むこと
- 営利団体の役員の立場に就くこと
の3つを指します。
なお、公務員では②自営兼業と③役員兼業は、たとえ無報酬でもNGとされていますので注意が必要です。
根拠法令はこちら
国家公務員法
(私企業からの隔離)
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。(他の事業又は事務の関与制限)
第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
地方公務員法
(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
根拠資料はこちら
会社員が株式投資を行う場合の扱い
会社員の副業禁止規定は、通常「他社での雇用」「自ら事業を営むこと」などを対象にしています。
つまり、「労働の対価として報酬を得る行為」が副業とされるのです。
一方、株式投資は「株式の売買益」や「配当金」といった資産収益を得るものであり、労働の提供は伴いません。
したがって、一般的な会社の就業規則で禁止される副業には該当しません。
公務員が株式投資を行う場合の扱い
公務員の場合は「国家公務員法」や「地方公務員法」により、副業(有報酬兼業・自営兼業・役員兼業)が原則禁止されています。
ただし、株式投資は「労働の対価として報酬を得る行為」「事業を営む行為」ではなく、「資産運用」にあたるため、株式の保有や取引そのものは認められています。



実際に多くの公務員がNISAや投資信託を利用して資産形成をしていますよね
副業と資産運用の違い
副業と資産運用の線引きを理解しておくことは重要です。
- 副業
-
- 労働やサービス提供の対価として収入を得ること、営利団体に従事することなど
- 例:アルバイト、フリーランス業務など
- 資産運用
-
- 保有する資産を運用して収益を得ること
- 例:株式投資、FX、不動産投資など
この違いを理解しておけば、会社員や公務員でも安心して株式投資を始めることができます。
つまり、株式投資は「副業禁止規定に抵触しない合法的な資産形成方法」であり、長期的な資産運用の選択肢として安心して取り組めるのです。
株式投資がNGとなる事例
副業規程の観点から株式投資が問題なかったとしても、別の観点でNGとなる場合があります。
株式投資のNG例は以下の3点です。
- インサイダー取引
- 職務中の株取引や株情報の閲覧
- 利益相反が疑われる株式の取引
- インサイダー取引
-
勤務先や取引先などから得た未公開の内部情報をもとに株を売買することは、金融商品取引法で禁止されているインサイダー取引に該当します。
たとえ少額でも発覚すれば刑事罰の対象となり、懲戒解雇や社会的信用の失墜につながります。
- 職務中の株取引や株情報の閲覧
-
勤務時間中にスマホやPCで株式取引を行ったり、株情報を閲覧したりすると、職務専念義務違反となります。
職務専念義務違反は処分対象となります。
- 利益相反が疑われる株式の取引
-
特に、金融機関・証券会社・上場企業の社員などは、利益相反が疑われる株式の取引が制限されていることがあります。
取引先の業績に関わる立場の社員がその企業の株を保有していると、客観性や公平性が疑われるリスクがあるためです。
株式投資は原則として副業ではありませんが、法令・職務上の倫理・社内規定に反する行為を行えば、懲戒や違法行為として扱われるリスクがあります。
安全に投資を続けるためには、上記の3つの観点を常に意識しましょう。
株式投資は勤務先にバレる?
株式投資を行うことに後ろめたさを感じる必要はありませんが、これから株式投資を始めたい会社員や公務員の中には、「勤務先にバレるのではないか?」と不安に思う方も多いでしょう。
結論から言うと、正しい方法で取引をしていれば勤務先に株式投資が知られることはほとんどありません。
ただし、株取引の報告が必要な職種があるため注意が必要です。
株取引等の報告について
公務員においては、一定の条件に当てはまる株取引は報告対象となります。一定の条件とは以下を満たす場合です。
- 発行済株式総数の3分の1を超える株式を所有(特例有限会社は4分の1)
かつ、
- その会社が職員の所属する府省の行政上の権限や行政指導の対象となっている場合



「発行済株式総数の3分の1を超える株式」を所有することなんて、ほとんどの公務員は該当しないと思いますが…
また、国家公務員の倫理法では、「本省審議官級以上の職員の株取引及び前年分の所得等の報告」が無条件に義務付けられています。
国家公務員倫理法>株取引等の報告
(株取引等の報告)
第七条 本省審議官級以上の職員は、前年において行った株券等の取得又は譲渡(本省審議官級以上の職員である間に行ったものに限る。以下「株取引等」という。)について、当該株取引等に係る株券等の種類、銘柄、数及び対価の額並びに当該株取引等の年月日を記載した株取引等報告書を、毎年、三月一日から同月三十一日までの間に、各省各庁の長等又はその委任を受けた者に提出しなければならない。
国家公務員倫理法>所得等の報告
(所得等の報告)
第八条 本省審議官級以上の職員(前年一年間を通じて本省審議官級以上の職員であったものに限る。)は、次に掲げる金額及び課税価格を記載した所得等報告書を、毎年、三月一日から同月三十一日までの間に、各省各庁の長等又はその委任を受けた者に提出しなければならない。
ちなみに地方公務員は、法律では規定されていませんが、各自治体の独自ルールにより国家公務員倫理法を準拠して同様の内部規定を設けている場合があります。
これらの報告により、株式の銘柄や株数、儲けの金額まで職場に知られることになります。
なお、「本省審議官級以上の職員」とは、
- 各府省庁の審議官
- 局長、副局長、次長、長官、副長官、官房長などの上級幹部
- 各省庁の大臣官房参事官のうち、一定の職務にある者
- 地方支分部局の局長級職員
- その他、人事院が指定する高位職(内閣府参事官など)
つまり、「本省審議官級以上」とは、国の政策決定や許認可などに直接関与する立場にある幹部公務員を指します。



この職階まで上り詰める職員は多くないので、そこまで深刻に考える必要はありませんが、認識はしておくべきでしょう
その他の疑われるケースと対応策
株式投資が勤務先に知られてしまうケースは5つです。
- 住民税の額が大きく変動する
- 噂・口コミが広がる
- 会社支給のPC・スマホのログに残る
- 疑われる行為が増える
- 不正をして逮捕される
- 住民税の額が大きく変動する
-
株式の売買益や配当金が増えると、確定申告を経て翌年の住民税額が上がることがあります(源泉徴収なしの口座で運用している場合のみ)。
会社の給与から住民税が天引きされている場合、経理担当者が「昨年より税額が高い」と気づく可能性があります。
対応策はこちら
確定申告が不要な「特定口座(源泉徴収あり)」で運用すれば、証券会社が利益発生時に自動で所得税・住民税を差し引いてくれます。このとき、利益情報は勤務先に通知されません。
もしくは、確定申告の際に「住民税の徴収方法」を普通徴収(自分で納付)に変更すれば、勤務先経由で課税情報が伝わらないようにできます
- 噂・口コミが広がる
-
職場で投資の話をしたり、SNSで株の利益を公表すると、そこから噂が広がることがあります。
特に飲み会や雑談の中での発言がきっかけになることも。
対応策はこちら
投資に関する話題は職場で避け、SNSでも実名や勤務先と紐づく投稿は控えましょう。
匿名アカウントを使う場合も、個人が特定されない工夫を。
- 会社支給のPC・スマホのログに残る
-
勤務中に会社支給の端末で証券会社サイトを開いたり、株価アプリを利用すると、アクセス履歴やログから判明する恐れがあります。
IT管理部門が監視している企業もあります。
対応策はこちら
株取引は必ず自分の私物スマホや自宅PCで行うようにし、勤務時間中は取引を控えましょう。
- 疑われる行為が増える
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勤務時間中に離席やスマホ操作が増えたり、急に資金に余裕が出るなどの行動が見られたりすると、上司や同僚に「何か副業しているのでは?」と疑われることがあります。
対応策はこちら
勤務時間中に株価を頻繁にチェックしないようにし、生活スタイルの変化を目立たせないことが大切です。
- 不正をして逮捕される
-
インサイダー取引や脱税など、法律に違反した取引を行った場合は、当然ながら捜査・報道を通じて勤務先に知られてしまいます。
特に上場企業の社員は、職務上の情報利用が厳しく禁止されています。
対応策はこちら
法令を遵守し、未公開情報を使った取引は絶対に行わないようにしましょう。納税も正しく行い、透明性を保つことが重要です。
正しい手続きを踏んでいれば、株式投資は勤務先に知られる心配なく取り組むことができます。安心して資産運用を始めましょう。
副業的に稼ぐための株式投資戦略
株式投資は副業ではなく資産運用ですが、工夫次第では「副収入」として安定的に収益を得ることも可能です。
ここでは、初心者から中級者まで取り組みやすい代表的な投資戦略と、それぞれのリスクについて解説します。
高配当株・インカムゲイン戦略
配当金の支払いが安定している企業の株を長期保有し、毎年の配当収入を得る方法です。
インカムゲインとは、株式の配当金・株主優待など、保有している資産から得られる継続的な収入のことを指します
- メリット
-
- 長期的に安定した収入源になる
- 再投資に回すことで資産が雪だるま式に増える
- デメリット
-
- 株価が下落するリスクがある
- 業績悪化で減配・無配になる可能性もある
インデックス投資・積立投資戦略
日経平均株価やS&P500など、市場全体に連動するインデックスファンドに毎月コツコツ積み立てる方法です。
インデックス投資とは、日経平均株価やS&P500といった市場の指数(インデックス)の値動きに連動した運用を目指す投資手法です。
複数の銘柄に分散投資するため、個別の銘柄分析が不要で、少額・低コストで始めやすいのが特徴です。投資信託の一種である「インデックスファンド」を利用するのが一般的です。
- メリット
-
- 少額から始められる
- 長期的に安定した成長が見込める
- 初心者でも続けやすい
- デメリット
-
- 短期的に大きな利益は狙えない
- 市場全体の暴落時には含み損を抱えることもある
スイングトレード戦略
数日〜数週間の株価変動を狙って売買する手法です。テクニカル分析やトレンドを読みながら取引を行います。
- メリット
-
- 短期間で利益を得やすい
- 相場の流れに乗れば高いリターンも期待できる
- デメリット
-
- 常に株価をチェックする必要がある
- 損切りの判断が遅れると大きな損失につながる
株主優待投資戦略
企業が株主に提供する「株主優待(商品券、割引券、自社製品など)」を目的に株を保有する方法です。
- メリット
-
- 実生活で役立つ特典がもらえる
- 人気優待銘柄は株価も安定しやすい
- デメリット
-
- 優待の廃止や改悪リスクがある
- 優待目当てだけで割高株を買うと損をする可能性もある
リスクとリターンのバランスを考えるコツ
株式投資を副業的に稼ぐ手段と考える場合でも、「リスクとリターンのバランス」を取ることが重要です。
- 生活費とは切り離した余裕資金で投資する
- 短期投資と長期投資を組み合わせてリスク分散する
- 常に「最悪のケース」を想定して損切りラインを決める
これらを意識することで、安定的に収益を積み上げやすくなります。
つまり、株式投資は「一攫千金を狙う副業」ではなく、時間をかけて資産を増やしながら副収入を得る手段として取り組むのが賢い戦略です。
株式投資を始める手順
株式投資に興味はあるけれど「何から始めればいいのかわからない」という方は多いでしょう。
ここでは、初心者がスムーズに株式投資を始められるように、具体的な手順をわかりやすく解説します。
証券会社を選ぶ
証券会社には大きく分けて「ネット証券」と「対面型証券会社」があり、初心者には手数料が安く、スマホやPCから簡単に取引できるネット証券がおすすめです。
SBI証券や楽天証券、松井証券などは利用者が多く、初心者にも使いやすい設計になっています。
口座を開設する
証券口座の開設にはマイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類が必要です。手続きはオンラインで完結でき、数日〜1週間程度で取引を始められる口座が有効化されます。
口座の種類は「一般口座」「特定口座(源泉徴収あり/なし)」などがありますが、初心者には特定口座(源泉徴収あり)を選ぶのがおすすめです。これを選べば、確定申告をしなくても税金が自動で処理されるため手間がかかりません。
資金を入金する
多くのネット証券では、銀行口座と連携して即時入金が可能です。
生活資金とは分けて、無理のない範囲で資金を用意しましょう。初心者はまず数万円〜数十万円の少額から始めるのが安心です。
銘柄を選ぶ
次に購入する株を選ぶステップです。銘柄選びの基準には、以下のようなポイントがあります。
- 安定した業績を続けているか
- 株主優待や配当が魅力的か
- 将来性のある業界・企業か
- 株価が割安かどうか
(PERやPBRなどの指標で判断)
初心者のうちは、いきなり短期売買を狙うのではなく、安定的に成長している企業や、長期保有でリターンが期待できる銘柄を選ぶのがおすすめです。
株を購入する
取引画面から銘柄コードや株数を指定し、成行注文または指値注文で発注を行います。
- 成行注文
-
価格を指定せず、すぐに売買を成立させる注文方法
- 指値注文
-
希望する価格を指定して注文する方法
最初は少額から購入し、取引の流れに慣れていくことが大切です。
運用・管理を行う
株を購入した後は、定期的に運用状況をチェックすることが必要です。
株価の変動や企業の決算情報、経済ニュースに注意を払いましょう。
ただし、株価の上下に一喜一憂しすぎず、長期的な視点を持つことが安定した投資成功への近道です。
初心者におすすめの証券口座
株式投資を始めるには、まず証券口座を開設する必要があります。
証券会社によって手数料や取扱商品、使いやすさが異なるため、自分に合った口座を選ぶことが大切です。
ここでは、特に初心者に人気の高いネット証券を紹介します。
SBI証券|初心者から上級者まで人気No.1
SBI証券は、ネット証券の中でも最大級のシェアを誇る証券会社です。
取引手数料が安く、IPO(新規公開株)の取扱件数も業界トップクラス。さらに、住信SBIネット銀行との連携により、資金移動がスムーズで使い勝手が抜群です。
株式投資を長期的に取り組みたい方におすすめです。
楽天証券|楽天ポイントでお得に投資
楽天証券は、楽天経済圏を利用している方に特に人気です。
楽天ポイントを使って株や投資信託を購入できるのが大きな魅力。また、取引ツール「マーケットスピード」が使いやすく、初心者でも株価やチャートを直感的に確認できます。
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普段からLINEを使っている人には、操作が直感的で分かりやすいのもメリットです。
まとめ|最初の1社は大手ネット証券がおすすめ
株式投資を始めるなら、まずはSBI証券や楽天証券といった大手ネット証券を選ぶのが安心です。
操作性やサービスが充実しており、投資初心者でも迷わず取引を始められます。
さらに、複数の証券口座を持つことも可能なので、将来的に使いやすい証券会社を組み合わせて利用していくのも賢い方法です。
まとめ|株式投資は副業ではなく、誰でも始められる資産運用
ここまで解説してきたように、株式投資は会社員や公務員が行っても副業には当たりません。なぜなら、労働による収入ではなく、資産運用の一環として得られる利益だからです。
そのため、多くの人が勤務先に影響されることなく安心して投資を行っています。
「副業禁止だから投資できないのでは?」と悩む必要はありません。まずは小さな一歩を踏み出し、株式投資をあなたのライフプランに取り入れてみてはいかがでしょうか。



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