40代前半、公務員としての生活にもはや慣れている…はずなのに、ふとした瞬間に胸の奥から「本当にこれでいいのか」という声が湧いてくる。
安定した給料と雇用、社会的な信用、そして家族を守る責任。どれも簡単に手放せない価値だ。
でもやりたいことや挑戦したい気持ちが消えたわけではない。
この記事は、そんな「夢」と「現実」の狭間で揺れる40代前半の公務員の私が記すものです。
40代前半、公務員という安定の裏にある“葛藤”
公務員として働き始めた頃は、「安定した職に就けた」という安心感が大きかったはず。周囲からも羨ましがられ、親も喜んでくれる。
社会的にも誇れる職業であり、「挑戦より安定」という価値観がいつの間にか自分の中で当たり前になっていた。
しかしその安定の裏側には、自分でも気づかないうちに押し込めてきた“やりたいこと”が眠っている。
本当は興味のある分野があったり、挑戦してみたい仕事があったりするのに、「家族がいるから」「失敗できないから」と言い聞かせ、胸の奥にそっとしまい込んで働き続けてしまう。
気づけば、淡々と与えられた仕事をこなすだけの毎日になっていた。
40代に差し掛かると、これまで見て見ぬふりをしてきた問いが、再び静かに顔を出してきた。
このままで本当にいいのか？
自分の人生をこのまま終えてしまって後悔しないのか？
仕事にも家庭にも大きな変化が訪れる年代だからこそ、改めて自分の生き方や働き方と向き合わざるを得ない時期でもあります。
安定の中にある安心は確かに大切。
でも、その影で押し込めてきた“本音”があるなら、無視し続けることもまたストレスになります。
プラスに考えるとすれば、この葛藤を抱えていること自体、私が自分の人生を真剣に考えている証拠となるでしょうか…
本当はチャレンジしたいのに動き出せない理由
本当は、ずっと心のどこかに挑戦したい気持ちがある。きっと私だけではないはず。
やりたいことに挑戦したい気持ちは確かにある
若い頃に抱いていた夢や、何となく興味を持ち続けてきた分野…忙しさや環境の変化で忘れたふりをしてきただけで、実は今も心の奥に残っていることは少なくない。
40代になり、人生の折り返し地点を意識するようになると、「いつかやろう」と思っていたことを“今こそ”やるべきではないかと感じる瞬間も増えてきました。
しかし、いざ動き出そうとすると、なぜか足が止まってしまう。
挑戦したいのに一歩が踏み出せないのは、自分の気持ちが弱いからではなく、公務員という環境や、これまで築いてきた生活があるからこその葛藤です。
家族を守る責任が決断を重くする
40代といえば、家庭の責任が最も重くなる時期。
住宅ローン、子どもの教育費、毎月の生活費…どれも簡単には削れません。
「もし挑戦して失敗したらどうなるだろう…」と考えるだけで、リスクの大きさに圧倒されてしまいます。
もちろん、家族との対話は大切です。将来の働き方やお金のことを話し合うことで、気持ちが楽になる場面もあるでしょう。
しかし、いくら話し合っても「本当に大丈夫だろうか」という不安が完全に消えることはありません。
特に、公務員という安定を手放す決断は、他の職業よりも精神的な負担が大きくなりがちです。
責任を背負っているからこそ慎重になる。
守るものがあるからこそ踏み出せない。
その葛藤は、決して私だけではなく、多くの40代公務員が抱えている現実だと思います。
選択肢はあるのに、どれも取りづらい“公務員の現実”
副業、転職、独立、FIRE…など、取りうる選択肢があるはずなのに、それでもなかなか踏み絵出せないのはなぜでしょうか。
副業禁止の壁｜法律と服務規程の制限
多くの人が収入源を増やすために副業へ踏み出していますが、公務員の場合は事情が異なります。
法律により公務員は原則として営利目的の副業が禁止されており、許可を得ない限り自由に働くことができません。
収入を増やしたい、将来への備えをしたいという思いがあっても、「やってはいけないこと」が多すぎて選択肢が限られてしまう。
これが、公務員が抱える厳しい現実のひとつです。
転職・独立・FIRE…どれもハードルが高い理由
収入の柱を増やせないのであれば、転職や独立といった別の選択肢が考えられます。しかし、40代になるとこれらの道も決して簡単ではありません。
まず、転職市場では「即戦力」が強く求められるでしょう。これまで公務員として蓄積してきた経験がそのまま評価されるとは限らず、ビジネススキルのギャップを痛感するケースがありそうです。
独立となれば、さらにリスクは大きくなります。事業が軌道に乗るまでの不安定さ、収入が途絶える恐怖、家族を抱える40代にとっては現実的に考えると踏み出しづらいのが本音でしょう。
そして、注目されることの多いFIRE（経済的自立・早期リタイア）も、ハードルの高さは群を抜いています。
最低でも数千万円の資産、場合によっては１億円近い資金が必要です。さらに、リタイア後も資産運用による安定収入を確保し続ける知識と覚悟が求められます。
選択肢があるように見えて、実際にはどれも高いハードルが立ちはだかる…。それが、公務員特有の“動き出しづらさ”につながっています。
それでも“今”できることはある
公務員特有の動き出しづらさがあったとしても、それを言い訳にして立ち止まれば何も変わりません。
人生を変えるのは「行動」
「知識」をいくら蓄えても何も変わりません。
法律に抵触しない範囲で稼ぐための選択肢
公務員には副業の制限がありますが、それでも「まったく何もできない」というわけではありません。
法律や服務規程に触れない範囲で、少しずつ収入や資産を増やす方法は存在します。
資産運用（株・投資信託）
株式や投資信託などの金融商品による運用は、公務員でも認められています。長期投資でコツコツ積み上げることで、労働収入に頼らない資産形成が可能です。
不動産投資
不動産投資も一定範囲内であれば無許可で行うことができます。安定した雇用と給与でローンが組みやすく、公務員の特権副業と言われています。
メルカリ・不用品販売
家庭内の不要品を処分する形であれば問題ありません。ただし、仕入れて販売する“転売”に該当すると営利目的と見なされる可能性があるため、あくまで家庭内の物品に限るのが安全です。
ポイント活動
ポイ活はリスクが低く、隙間時間で取り組める方法です。「労働の対価」に該当しない範囲で行うことで、制限に違反せずに行えます。
家業の手伝い（無報酬）
家族名義での副業であれば、自身は稼ぎがないので副業制限に違反しない範囲でできる。ただしNG例もあるので要注意。
重要なのは、「副業に該当しない範囲を正しく理解すること」
無理に稼ぎに走るのではなく、リスクを避けながら小さく始めることが、公務員にとって最も現実的な戦略だと思います。
スキルを蓄積する工夫
すぐに収入につながらなくても、「いつでも動ける状態」をつくっておくことは未来を大きく変えるはずです。
特に40代は、今後のキャリアの方向転換を考えるうえで、スキル習得が非常に重要となるでしょう。
オンライン講座で学ぶ
動画で学べる講座は、スキマ時間に取り組めるため公務員にも相性が良い方法です。
プログラミング、デザイン、マーケティングなど、いつか転職や副業につながるスキルを先に習得しておくことができます。
資格取得（行政書士、FP、IT系など）
資格はスキルの客観的な証明になります。行政書士やFPは公務員と相性が良く、IT系の資格は民間企業への転職で大きな武器になります。
転職市場で評価されるスキルを把握する
40代の転職では、専門性や実務スキルが強く求められます。今のうちに市場が求めるスキルを把握し、少しずつ準備を進めておくことで、いざ転職したくなった時に動きやすくなります。
大切なのは、「今すぐ稼ぐ」ことではなく、「いつでも動ける状態」をつくること。
そのための準備は、公務員であっても誰にでも始められる確かな一歩です。
公務員でも“未来への布石”は打てる
ビジネススキルが乏しいと考えらる公務員がやるべきことは何があるのでしょうか。
職場の経験をどう活かすか考える
公務員として働いてきた経験は、実は民間でも高く評価される部分が多くあるそうです。
例えば、部署間の調整力、丁寧な資料作成、法令に基づいた正確な判断、住民対応のコミュニケーション能力などです。
これらはどれも、民間企業が求める「信頼できる実務スキル」に直結します。
自分では当たり前にやってきた仕事でも、実は他業界では貴重な経験として扱われます。
そのため、一度立ち止まり、自分のスキルや経験を棚卸ししてみることは有意義やことになるはずです。
「自分には何もない」と思い込むのではなく、公務員として蓄積してきたスキルをどのように次の市場で活かすことができるのか、それが自身の強みになり得るはずです。
小さく始めて、小さく積み上げる戦略
未来に向けて動き出すために、大げさなことをする必要は必ずしもないでしょう。むしろ大切なのは、小さく始めて、小さく積み上げることです。
・休日数時間の学習
毎週の休日に数時間だけでも、新しいスキルや知識を学ぶ時間を確保することで、１年後には大きな差になるはずです。学習の習慣化が、自分の可能性を広げてくれます。
・月数千円の積み立て投資
小額の積み立てでも、５年・10年と続けることでまとまった資産になります。公務員は収入が安定しているため、長期投資との相性が良いというメリットがあります。
・副業ではなく「趣味の延長」で価値提供できることを探す
公務員が副業で大きく動くのは難しいため、法律に触れない範囲で「趣味の延長で誰かの役に立てること」を探すのも一つの方法です。
例えば、写真、手作り作品、家庭菜園の知識など、収益化を目的としない価値提供ならサービス提供にはカウントされないこともあります。
人生を一気に変えるのではなく、むしろ、小さな行動を積み重ねながら、５年・10年といった中長期で自身の未来をデザインしていく方が、公務員にとっては現実的で確実なアプローチです。
まとめ｜狭い選択肢でも、今日から少しずつ未来は変えられる
公務員という立場には多くの制約があります。
副業の禁止、転職や独立のハードル、家族を背負う重圧…どれも簡単に乗り越えられるものではありません。
しかし、「動けない理由」をしっかりと理解することで、自分が取るべき行動も見えてきます。
大きな変化を一気に起こすことは難しくても、小さな行動なら今日からでも始められます。
たとえば、学び直し、資格取得、長期投資、スキルの棚卸し。
どれも一つひとつは小さな積み重ねですが、続けることで確実に未来への選択肢が増えていきます。
完璧なタイミングや理想の環境が整うのを待ち続けても、その日が来ないことは珍しくありません。
だからこそ、「今できること」を積み重ねることが、未来を変えるための確かな第一歩になります。
制約の多い公務員であっても、行動次第で未来は必ず変えられる…その現実を忘れず、自身のペースで前へ進んでいきたいと思います。
ともに頑張りましょう！
