
公務員でも、メルカリでモノを販売できるって本当なの?



公務員の副業禁止に違反しない?
そんな疑問、ありませんか?
公的な職務に従事する公務員であっても、賢くフリマアプリを活用したい、スキルアップのために新しいことに挑戦したい、という気持ちは当然ありますよね。
でも、副業禁止の原則がある手前、何がOKで何がNGか、線引きが曖昧で不安に感じる方も多いはず。
そこでこの記事では、「公務員のメルカリ販売と副業基準」について、グレーゾーンを徹底的にクリアにしていきます!
「これなら安心してできる!」
「それって副業になるんだ!」
そんな発見がきっとあるはず。
公務員とメルカリ、公務員の副業基準のリアルな境界線を認識して、安心して一歩踏み出しましょう!
公務員が無許可でメルカリ販売できる例
法律により副業が制限されている公務員ですが、すべてのメルカリ利用が禁止なわけではありません。
公務員がメルカリを利用できる例として、
- メルカリで不用品の売買をする
- 家族名義のアカウントでメルカリ販売する
上記の方法であれば、無許可で合法的に行えます。
具体的な根拠と注意点について詳細を解説していきます。
不用品の売買
日常生活を送る上で不要になった私物を売却する行為は、副業とはみなされず、許可なく行うことができます。
実は、不用品の売買が問題ないことについては、人事院の公表資料にも明記されているので、グレーゾーンではなく完全に合法的な方法です。
- ネットで物を転売するなどして収入を得ることはできますか。
着なくなった服など、自分がたまたま所有しているものを出品する程度であれば兼業には該当しません。
しかしながら、例えば、物品を多数購入し、定期的に物品を出品する場合等には、承認又は許可が必要な兼業に該当する可能性があります。
出典:一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)令和6年6月内閣人事局・人事院
さらに、不用品の売買による収入は、税法上においても”儲け”とみなされないため非課税扱いとなり確定申告の対象外です!
※ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個の価額が30万円を超えるものは除きます。
(国税庁:譲渡所得の対象となる資産と課税方法)
具体的なOKな例は、衣類、書籍、おもちゃ、家具家電など、日常生活で使用していたものをメルカリで販売する場合です。車の下取りや引っ越しや模様替えに伴う不用品処分も無許可でOKです。
家族名義のアカウントのメルカリ販売
家族の名前を使ってメルカリで販売しても、副業と見なされません(注意点あり)
たとえば、メルカリで転売やハンドメイド作品を売る場合、自分ではなく家族の名前(アカウント)を使っていれば、「家族の手伝い」とみなされ、公務員でも許可なく行うことができます。
このように、自分が報酬(お金)をもらわず、あくまで「家族の仕事を手伝っている」という形であれば、公務員が禁止されている「労働の対価として報酬を得る行為」にはあたりません。
ただし、1つ注意してください。
家族名義とはいえ、実際には自分がすべての作業(商品の仕入れ、出品、発送など)をしていると、「家族の手伝い」ではなく「自分の仕事」とみなされてしまう可能性があります。
その場合、「自分で事業をしている(自営兼業)」と判断され、公務員の副業制限に違反してしまうことになります。
人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であつても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。
また、税金の面でも「実際に仕事をしていた人が収入を得た」と判断される「実質所得者課税の原則」という考え方があり、家族の名義であっても作業者本人の所得としてみなされ、税金の支払い対象になることがあります。
(参考)国税庁>法第12条《実質所得者課税の原則》関係



自分から誰かに話さない限り、家族名義の副業でバレるとは考えづらいですけどね…
公務員のメルカリ販売が副業禁止に抵触する例
公務員がメルカリを利用して商品の販売を行う場合、どのような状況で副業規定に抵触するのかを具体的に見ていきます。
副業規定に抵触する典型的な例としては、
- 商品を仕入れて転売する(転売・せどり)
- ハンドメイド作品の販売
上記について、自身の名義で継続的に行う場合は、副業とみなされます。
その他のNG例として、
- 職務に関連する物品の販売:情報漏洩や利益相反の観点から絶対NG
- 社会的な信用を損なう行為:信用失墜行為として絶対NG
- 本業の勤務中に出品等の作業をする:職務専念義務違反となり絶対NG
など、公務員の義務違反により処分対象となる場合も想定されます。
転売・せどり



「転売・せどり」はダメなんだ!?
転売・せどりは、「商品を仕入れて販売する行為」が”労働”とみなされるため、これを継続的に行えば、有報酬兼業とみなされて許可が必要な副業とみなされます。
ただし、
- 単発的に転売する
- 家族が行う転売・せどりの作業の一つを、無報酬でただ手伝うだけの行為
上記の方法であれば、許可不要で行うことができます。
ハンドメイド販売



「ハンドメイド販売」は趣味だから大丈夫って聞いたけど違うの?
ハンドメイド販売は、「労働の対価として、継続的に報酬を得る行為」にあたるため副業制限に抵触します。
「趣味だから」というのは言い訳であって、ハンドメイド販売によって継続的に報酬を得れば、副業とみなされます。
ただし、
- 単発的にハンドメイド作品を販売する
- 自身は趣味としてハンドメイド作品をつくるだけであって、家族がその販売を行う
上記の方法であれば、許可不要で行うことができます。
公務員が制限される”副業”の範囲を理解しよう
公務員の副業制限の範囲は、すでに具体的に定められ公表されています。
- 国家公務員の兼業について(概要)
- 地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について
- 人事院>服務・懲戒制度
>8.私企業からの隔離
>9.他の事業又は事務への関与制限 - 人事院>人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
公務員で制限される副業の範囲は以下3点です。
- 企業の役員になること(役員兼業)
- 自ら企業を営むこと(自営兼業)
- 有報酬で継続的に副業すること
①役員兼業は、名義のみであったとしても兼業に該当し、
②自営兼業は、他人の名義であっても実質的に本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合は兼業に該当し禁止されます。
なお、いずれも報酬の有無も問いません。
③有報酬兼業には2つの条件があって、
- 「労働の対価」として「報酬を得る」
- 「継続的・定期的に従事」する
上記2つの条件がいずれも満たされる行為を、有報酬兼業として制限しています。
裏を返すと、役員兼業・自営兼業・有報酬兼業の定義に当てはまらないかぎり、公務員の副業制限には抵触しないということです。
対象となる「兼業」とは、労働の対価として「報酬」を得て、事業又は事務に「継続的又は定期的に従事する」場合をいいます。
- 「報酬」とは、労務、仕事の完成、事務処理の対価として支払われる金銭をいい、交通費等の実費弁償は含まれません。
- 単発的な講演や雑誌等への執筆で報酬を得る場合は、「定期的又は継続的に従事する」ことに当たりません 。



営利目的かどうかは、「労働の対価」で得られた「報酬」と「継続性」で判断されるんですね。



そのとおり!だから「不用品の売買」と「家族名義の副業」は、有報酬兼業に該当しないんですね。
- 不用品の売買
-
- 不要となったモノの処分方法の一つであって、「労働」とはみなされない。
- 売買金額については、税制上においても”儲け(報酬)”とみなされない。
- 家族名義
-
- 自身は、報酬を得ていない(有報酬兼業の定義には当たらない)。
- 他人の名義であっても実質的に本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合は「自営兼業」に該当し禁止される
メルカリ販売と税金・確定申告について
公務員がメルカリを利用して副収入を得た場合の税金手続き、確定申告について解説します。
- メルカリで不用品の売買をした場合
- 家族名義のアカウントでメルカリ販売した場合
上記の2つの方法によって異なります。
副業と確定申告の一般論
一般的に、メルカリなどのフリマアプリでモノを販売し、1年間の所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要になります。
ここで注意したいのは、「売上」ではなく「所得(利益)」が対象だという点です。
■ 所得の計算方法
所得 = 売上金額 - 経費(仕入れ代、送料など)
たとえば、1年間で30万円の売上だとしても、材料費や送料などの経費が20万円かかっていれば、所得は10万円となります。この場合は、確定申告は不要です。
生活用動産を不用品としてメルカリ販売した場合
不用品の売買による売上は、”儲け”とみなされないため非課税扱いとなり、所得の計上には含みません。つまり、これを申告する必要はないということです。
※ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個の価額が30万円を超えるものは除きます。
日々の生活で利用するモノ(生活用動産)を売却しても儲けとみなされないので、申告の対象にはならない。
一方で、貴金属や宝石、骨董品などは生活必需品ではないため、売却して得られた金額は儲けとみなされて、確定申告の対象となるんですね。
ちなみに、生活に使っていた車(自家用車)も「非課税資産」とされ、売却益が出ても課税対象にはなりません。車の買い替え時に、メルカリで販売する方もいますね。
私は楽天carを利用しましたが…。ディーラー査定5,000円の車が59,700円で売れたので、まぁまあ良かったです。
所得税の課税されない譲渡所得
資産の譲渡による所得のうち、次の所得については課税されません。
(1)生活用動産の譲渡による所得
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。
高価なモノを不用品としてメルカリ販売した場合
前述のとおり、貴金属や宝石、骨董品などの高価なモノを販売して得た収入は課税対象となります。一方、公務員の副業規定の観点では、あくまで不用品としての処分であれば許可なく実施可能な範囲となります。
つまり、「副業には該当しないけど、確定申告の対象ではある」ということが起こり得ます。
その場合は、公務員であっても確定申告をしなければなりません。納税の義務は憲法に定められた国民の義務であり、これを怠れば脱税行為として最悪の場合は逮捕・処罰の対象となります。
不用品の売買であっても、30万円を超える高価なモノをメルカリ販売した場合は、確定申告の対象となることを覚えておきましょう。



それってバレたらヤバイやつ?



課税対象となる副収入があることが悪いわけではありません。副業制限に反しないFXや仮想通貨の取引による副収入と一緒ですよね。
家族名義のアカウントでメルカリ販売した場合
家族名義でメルカリ販売をした場合、メルカリアカウントの名義人が確定申告をします。
名義人がサラリーマンであっても専業主婦(夫)であっても、フリマアプリやネット販売での所得が20万円を超えると確定申告が必要となります。
なお、家族名義とはいえ、実際には自分がすべての作業(商品の仕入れ、出品、発送など)をしている場合、作業者本人の所得とみなされる可能性があるので注意してください。
税制上において、「実際に仕事をしていた人が収入を得た」と判断される「実質所得者課税の原則」という考え方があり、家族の名義であっても作業者本人の所得としてみなされ、税金の支払い対象になることがあります。



バレる気はしないですけど。どうやって証拠を抑えるのでしょうか。
公務員の副収入と確定申告について
確定申告の概要は以下のとおりです。
- 申告時期
-
申告期間:毎年2月16日~3月15日
対象期間:前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得を申告
- 申告方法
-
- e-Tax(電子申告)(マイナンバー認証)
- 郵送
- 税務署に持参
- 必要書類
-
- 確定申告書
- 源泉徴収票(給与所得者)
- 副業の収入と経費(所得)
- 各種控除証明書(医療費・寄附金控除など)
- 申告する内容
-
所得の種類(以下の合計が総所得となる)
- 給与所得
- 雑所得(メルカリ収入など)
- 不動産所得(賃貸収入など)
- 株式の配当所得・譲渡所得など
控除項目:
- 医療費控除
- ふるさと納税(寄附金控除)など
- 税金の精算
-
申告により「追加で納税」または「還付」が決定
- 所得税は、3月15日までに行う
- 住民税は、5~6月に届く納付書を四半期ごとに納付
確定申告についての詳細は以下の記事を参考としてください。
所得を減らすために経費を正確に算出しよう
所得税・住民税は、収入から経費を差し引いた儲け(所得)に対して課税されるため、適切に経費を計上することが節税に不可欠です。
公務員がメルカリで得た収入についても同様で、その活動に必要な経費を正確に計上することが大切です。
以下に、メルカリ販売で計上できる主な経費を紹介します。
【1】仕入れに関する費用
- 商品の仕入れ代金
- 商品を購入するための交通費や送料
【2】販売に直接関係する費用
- メルカリの販売手数料(売上の10%)
- 発送にかかる送料(出品者負担の場合)
- 梱包資材(ダンボール、封筒、テープ、緩衝材など)
【3】通信・インフラ系の費用
- スマホ代・ネット回線費用の一部(業務使用割合で按分)
- メルカリ用のアプリやツール、サービス利用料
【4】その他必要経費
- 商品写真を撮影するための撮影機材(カメラ、ライト、背景布など)
- 文房具や帳簿など、記録管理のための消耗品
- 売上管理・在庫管理用のソフトやアプリの利用料
【5】自宅を使っている場合(按分が必要)
- 家賃や光熱費の一部(仕事に使っているスペースや時間の割合をもとに按分)
計上した経費の証拠として、領収書やレシートをしっかりと保管しておきましょう。
公務員のメルカリ販売の処分事例
公務員の転売・ネットオークションに関連する処分事例について、具体例を紹介します。
処分事例の紹介
2019年から”公務員の副業バレの処分”のニュースを拾ってきた結果、転売・ネットオークションに関する事例は3件が蓄積されました。
(拾い漏れがあったらごめんなさい)
市職員×転売
2023年2月
市職員の男性(45)は、公務時間外にネットオークションでスニーカーの売買を繰り返し、多い年で年間約900件の取引をした。
減給10分の1(6か月)
税務署から転売益について申告漏れの指摘を受けた男性が市に連絡して発覚
自衛隊隊員×転売
陸上自衛隊の男性(30歳代)は、インターネット上で購入した衣料品や化粧品、健康食品などをネット上で転売することにより、約21万円の利益を得た。
停職3日
男性隊員が所属する会計隊から情報提供があり発覚
税務署職員×中古車の転売
2024年4月
育児休業中だった2022年8月から24年2月の間、自動車62台と携帯電話4台を転売し、約2億円を売り上げた。
停職1か月
同局管内の職員から情報提供があり、内部調査で発覚
いずれも、公務員の副業制限に抵触する「転売行為」ですね。
懲戒処分の指針
公務員への懲戒処分は、軽い方から順に「戒告」「減給」「停職」「免職」の4つの段階に分けられます。
このうち、公務員の無許可での副業がバレた際の処分内容は、「戒告」または「減給」となります。
なぜ、法律に抵触する行為なのに比較的軽い処分で済むのでしょうか。その答えは「ただ単に申請を怠っただけ」とみなされるからです。
人事院 懲戒処分の指針について
(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
なお、まれに停職や懲戒免職など、より重い処分となるのは、無許可での副業のほか、職務専念義務違反や信用失墜行為に反している場合となります。
なお、バレずにメルカリ販売をする方法については以下の記事を参考としてください。


まとめ
公務員は原則として副業が禁止されていますが、「不用品の売買」と「家族名義」という2つの方法であれば、無許可でメルカリ販売することが可能です。
不用品の売買は、営利目的でなければ問題にならず、自宅にある使わなくなった物を売る範囲なら副業にはあたりません。
一方で、家族名義での販売は注意が必要で、実質的な運営が本人であれば副業とみなされるリスクもあります。
大切なのは、「労働の対価」として「反復・継続的」に「報酬を得ていないか」をしっかり意識すること。
副業の基準を正しく理解した上で、ルールを守りながらメルカリを活用していきましょう。
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