
住民税の増額により副業を疑われた場合に、何か言い逃れ方法は無い?
副業していることを勤務先にバレないようにするための一つの対策として、副業にかかる住民税を自分で納付(「住民税の普通徴収」と言います。)する必要があり、その手続きは確定申告で「自分で納付」を選択しなければなりません。


でももし、
- 確定申告で記入ミスをしてしまったら?
- 万が一、勤務先の給与から住民税が引き落とされてしまったら?
上記のような緊急事態を想定して、この記事では「住民税の金額により勤務先に副業を疑われた場合の言い逃れ方法」を考察しました。
- 副業を疑われた場合の言い訳
- 言い訳を成立させるための予備知識
- 言い訳を成立させるための条件
副業バレの懸念を払しょくして、安心して副業に取り掛かりましょう。
住民税の増額により副業を疑われた場合の言い訳
住民税の増額により勤務先に副業を疑われた場合の言い訳は以下のとおりです。



住民税額が高額だけど、副業でもしてるの?



住民税が高額なのは●●による所得があるためです!●●は副業ではないですよね!?
上記会話の●●に入る単語
- 仮想通貨・暗号資産
- FX
- ポイ活(ポイント稼ぎ)
※注意点あり(詳細は後述)
言い訳が成立する理由
住民税が高額になっても、勤務先にはどこでいくら稼いでいるのかを知る術はありません。
住民税が高額となり、仮に勤務先に「給与以外の所得がある」と疑われても、その所得が「副業に該当しないお金の稼ぎ方で得た所得である」ことを論理的に伝えられれば問題ないわけです。
例えば、“アフィリエイト副業”によって得た所得も、”仮想通貨の取引(資産運用)”によって得た所得も、同じ所得区分(雑所得)で同じ住民税額です。
アフィリエイトは副業ですが、仮想通貨の取引は資産運用であって副業ではありません。
住民税が高額になっても、勤務先にはどこでいくら稼いでいるのかを知る術がないため、言い訳の余地があるのです。
言い訳を成立させるための予備知識
副業バレの言い訳をしたものの勤務先職員から追及された場合に備えて、必要な予備知識を備えておきましょう。
勤務先にバレる情報の範囲
勤務先に知られる情報は、通常「住民税額の年額・月額の支払額」だけです。それ以外の「所得区分」や「所得金額」までバレる可能は非常に低いです。
万が一、所得区分と所得金額までバレるとしたら、住民税支払決定通知書(納税者用)だけですが、通常、当該通知書には圧着式や保護シール式といった秘匿措置が講じられていますので、勤務先に見られる可能性は非常に低いです。
勤務先に知られる情報の範囲を理解するためには、各自治体から勤務先に送付される通知書の内容を把握する必要があります。
各自治体から勤務先に通知される情報
各自治体から勤務先へ通知される住民税の情報はどのような項目があるのでしょうか。
勤務先に届く通知は以下の2種類となります。
- 事業主用(納税の経理手続き用)
- 納税者用(事業主から各従業員へ渡す)
納税者用の通知書は勤務先を経由して各従業員に配布されています(法定事項:地方税法第321条の4)。
各自治体から勤務先に通知される住民税の決定通知書は、事業主用と納税者用の2種類があり、それぞれ以下の情報が記載されています。
- 事業主用の通知書
-
事業主用の通知書に記載される情報
- 住所・氏名
- 住民税額(年額・月額)
事業主用の通知書には、所得の区分や金額は記載されません。また、「自分で納付(普通徴収)」を選択した部分にかかる住民税額は記載されません。あくまで、勤務先の給与から天引きされる部分にかかる住民税額のみが記載されます。
勤務先には1枚の用紙に複数の従業員の住民税額がまとめて記載されて通知されています。
参考に地方税法に掲載されている「住民税決定通知書(事業主用)」の雛形を紹介します。
- 従業員(納税者)用の通知書
-
副収入にかかる住民税を自分で納付する場合は、副収入にかかる通知書のみ自宅に送付されますので、ミスなく申告されている場合は給与以外の所得を勤務先が知る由はありません。
しかし、確定申告の記入ミスにより給与から天引きする方法で住民税が徴収(住民税の特別徴収)されてしまう場合の通知書には副業にかかる以下の情報が記載されます。
納税者用の通知書に記載される情報- 住所・氏名
- 住民税額(年額・月額)
- 所得区分ごとの所得の有無
- 所得額
参考に地方税法に掲載されている「住民税決定通知書(納税者用)」の雛形を紹介します。
なお、納税者用の通知書は中身が見られないように圧着式や保護シール式などの秘匿措置を講じてあるはずなので、通常であれば勤務先が給与以外の所得を知ることはできません。
勤務先が知る必要のない個人の所得額が記載される通知書について、プライバシー保護の観点から秘匿措置をする必要があります。
2016年に総務省から各自治体に対して、通知書の秘匿措置を講じるように注意喚起しているため、現時点で秘匿処理をしていない自治体は少ないはずです。
しかし、勤務先が従業員用の通知書の情報を知る権利は否定されていないので、中身を見られる恐れも否定できません。
勤務先の職員が圧着式をはがしてまで所得情報を見ようとする職場なんてイヤすぎますね…
つまり、勤務先に知られる情報は基本的に住民税額のみですが、ごく一部の配慮のない自治体や勤務先の場合は、住民税額のほか「所得区分・所得金額」も知られる可能性もゼロではありません。
念のため「所得区分・所得金額」まで知られた場合の言い逃れ方法を想定しておきましょう。
- 基本:住民税額のみ
- 例外:住民税額+所得区分と所得額
所得区分とは
前項では、「勤務先に所得区分まで知られる可能性は否定できない」ことについて説明しましたが、”所得区分”とは何のことでしょうか?
- 所得とは?
- どのような所得区分がある?
- 所得区分ごとの副業の代表例は?
について説明していきます。
- 「所得」とは”儲け”のこと
-
「所得」とは「収入」から「必要経費」を差し引いた金額のことです。”儲け”と理解すれば良いでしょう。
仮に収入が100万円でも経費が100万円であれば、所得はゼロ円となります。
副収入源はさまざまありますが、所得はその収入源によって計10種類の区分に分けられて所得額を算出するように決められています。
所得区分の一覧と主な副業について下表にまとめましたので参考としてください。
所得区分 | 主な副業例 |
---|---|
給与所得 | パート・アルバイトなど勤務先から給与を受ける副業 |
雑所得 | アフィリエイト、動画配信、せどり・転売、仮想通貨取引の利益など |
事業所得 | アフィリエイト、動画配信、せどり・転売などを事業規模で行う場合 |
配当所得 | 株式の配当金 |
不動産所得 | 不動産投資の家賃収入 |
譲渡所得 | 不動産売買、株式売買 |
山林所得 | 山林の譲渡 |
一時所得 | 競馬等の公営競技の払戻金 |
退職所得 | 退職金 |
利子所得 | 預貯金の利子 |
アフィリエイトや動画配信、せどり・転売などの副業の所得区分は、「雑所得」もしくは「事業所得」です。
パートやアルバイトなどの”勤務先から給与を受ける副業”を除き、ネット副業の多くは「雑所得」または「事業所得」と認識しておけばよいでしょう(投資系を除く)。
なお、雑所得と事業所得の明確な基準はありませんが、事業性があると判断されるかどうかがポイントとなります。つまり、副業の収益性や継続性などを総合的に勘案して事業と認められるかどうかが判断軸です。収益性の一つの基準としては年間300万円となります。
事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。 なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。
国税庁:法令解釈通達(令和4年10月7日)
勤務先に「事業所得」があることがバレた場合は、それこそ事業を行なっていることが判明してしまうため、なかなか言い逃れの方法が無くなってしまいます。言い逃れを成立させるには「雑所得」の方が都合が良いでしょう。
ただし、所得区分までバレる可能性は非常に低いですし、事業所得の規模(300万円超)を稼げるようになれば、退職や転職も考えられるので、その頃には副業バレ自体をあまり気にしなくて良いでしょう。
総合課税と分離課税
所得への課税の方法は「総合課税」と「分離課税」の2パターンあり、同じ所得区分でも、課税の方法が総合課税と分離課税で異なる場合があります。
例えば、アフィリエイトは「雑所得の総合課税」ですが、FXは「雑所得の分離課税」です。
- 総合課税とは
-
- 総合課税とは、他の所得を合計した総額に対して税率を適用して税額を算出する方法
- 住民税率は10%
- 分離課税とは
-
- 分離課税とは、他の所得と分離しそれぞれ特別な税率を適用して税額を算出する方法
- 住民税額は、事由により5〜10%と個別に規定されている
総合課税の住民税率は10%ですが、分離課税では5%,9%,10%と収入源によりさまざまです。
例えば、アフィリエイトの所得が100万円だとしたら、住民税額は10万円です(雑所得・総合課税10%)。一方、FXで得た所得が100万円だとしたら、住民税額は5万円です(雑所得・分離課税5%)。
特に、勤務先に所得区分と所得税額までバレている場合の言い訳は、実際に行なっている副業と言い訳で用いるお金稼ぎが、同じ所得区分と課税方法でなければ矛盾が生じてしまいます(そこまで理解している職員は少なそうですが…)。
- 実際に行っている副業と言い訳で用いるお金の稼ぎが、同じ所得区分・課税方法であることまで考慮しておきましょう。
副業の所得区分と課税方法
副業の所得区分と課税方法がどのようになっているのか、主な副業について下の表で一覧にまとめました。
所得区分 | 総合課税 | 分離課税 |
---|---|---|
給与所得 | 本業・パート・アルバイト | |
雑所得 | アフィリエイト・動画配信、せどり・転売、仮想通貨取引の利益など | 先物取引の雑所得(FXの利益)など |
事業所得 | アフィリエイト、動画配信、せどり・転売などを事業規模で行う場合 | |
配当所得 | 株式の配当金 | 株式の配当金 申告分離課税を選択した場合 |
不動産所得 | 不動産投資の家賃収入 | |
譲渡所得 | 不動産売買、株式売買 | |
山林所得 | 山林の譲渡 | |
一時所得 | 競馬等の公営競技の払戻金 | |
退職所得 | 退職金 | |
利子所得 | 預貯金の利子 |
総合課税の所得↓
総合課税とは、各所得の金額を合計して税額を算出する方法。住民税率は10%
- 給与所得
- 雑所得
(株式等の譲渡による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く) - 事業所得
(株式等の譲渡による事業所得を除く) - 配当所得
(源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したもの、上場株式等の配当について申告分離課税を選択したものを除く。) - 不動産所得
- 利子所得
(源泉分離課税とされるもの、特定公社債等の利子等を除く。) - 譲渡所得
(土地建物等および株式等の譲渡による譲渡所得を除く) - 一時所得
(源泉分離課税とされるものを除く)
分離課税の所得↓
分離課税とは、他の所得と分離しそれぞれ特別な税率を適用して税額を算出する方法
- 土地建物等の譲渡にかかる譲渡所得
- 株式等の譲渡にかかる譲渡所得
- 上場株式等の配当等にかかる所得
- 先物取引に係る雑所得等
- 退職所得
- 利子所得
- 山林所得
アフィリエイトや動画配信、せどり・転売などを事業規模に満たない範囲で行う副業の所得区分は「雑所得」であり、副収入にかかる住民税は総合課税として所得に対する10%の金額を納税することになります。
アフィリエイト、Webライター、動画配信、ネットショップ、せどり・転売、ハンドメイド販売など
言い訳する際も「雑所得×総合課税」のお金稼ぎの方法を選択すれば矛盾は生じません。
言い訳を成立させるための条件
勤務先に「所得区分・所得金額」までバレている場合、言い訳に矛盾が生じないようにするためには、自身が実際に行う副業と言い訳で用いるお金稼ぎが、同じ所得区分で課税方法である必要があります。
一方で、住民税額しかバレていない場合は「給与の他に副業に該当しない方法で得た所得がある」ことだけ説明すれば良いです。
言い訳を成立させるための条件をまとめると以下のようになります。
- バレた内容が住民税額だけの場合
-
- 「給与の他に副業に該当しない方法で得た所得がある」ことだけ説明すれば良い
- 所得の内容までバレた場合
-
- 「給与の他に副業に該当しない方法で得た所得がある」ことを説明すること
- 自身が実際に行う副業と言い訳で用いるお金稼ぎが、同じ所得区分で課税方法であること
言い訳で用いる副収入
副業に該当しない副収入には、以下のようなものがあります。
雑所得×総合課税の副収入
副業 | 所得区分 | 課税方法 |
---|---|---|
ポイ活 | 雑所得 | 総合課税10% |
FX(海外口座) | 雑所得 | 総合課税10% |
仮想通貨・暗号資産 | 雑所得 | 総合課税10% |
ポイ活の一部は副業とみなされる恐れあり(詳細は後述します)
副業で100万円を稼いでも、仮想通貨取引で100万円を稼いでも、いずれも雑所得で住民税額は同額です。
勤務先には収入源まで知られることはありませんから、「仮想通貨での所得があります」と言い訳が成立します。



住民税額が高額だけど、副業でもしてるの?



仮想通貨で資産運用しているだけです!(バシッ!)
仮想通貨取引は副業ではありません。ただの資産運用です。
ポイ活(ポイント稼ぎ)の注意点
ポイ活(ポイント稼ぎ)も言い訳に用いることができますが、どのようにポイントを得たかによって副業に該当するか否かが判断されます。
副業に該当するか否かの判断軸は「労働の対価によるポイント付与」かどうかです。
- 副業となるポイ活
-
- 労働の対価によるポイント付与
- アンケート回答、飲食モニターなど
- 副業扱いにならないポイ活
-
- サービスの申込や商品購入など、労働の対価によらないポイント付与
- クレジットカード発行、証券口座の開設など
したがって、ポイ活の言い訳する場合は気をつけましょう!



住民税額が高額だけど、副業でもしてるの?



ポイ活でポイントを稼いでいるだけです!(バシッ!)



ポイ活も場合によっては副業制限に該当しますよ?



はい、認識しています!副業扱いにならない範囲でのポイント稼ぎしかしていません!(バシッ!)
ポイ活(ポイント稼ぎ)ではクレジットカード発行や投資系口座の開設、セミナー申込みなどによって、一度に数千〜数万円のポイントをすぐに稼ぐことができますが、業務に紐づかないただのサービスの申込みにより得たポイントは副業扱いにはなりません。法律により副業が制限される公務員でも許可不要で実施可能です。
加えて、楽天市場やヤフーショッピングなどの買い物で、通常のポイントに加えてポイントサイト経由のポイントが付与されるため、コツコツ節約できます。
ポイ活は、月に数万円のポイント稼ぎは簡単にできるので副業初心者にオススメの副業であると同時に、非常に簡単に副業の試しとして実施できるのです。
副業バレの言い訳としてだけでなく、ポイ活は万人にオススメする節約術です。
言い訳でボロが出る可能性のある副収入
以下の副収入は副業には該当しませんが、副業とは別の所得区分または課税方法であるため、言い訳の際にボロが出る可能性があります。
副業と異なる所得区分または課税方法の副収入
副業 | 所得区分 | 課税方法 |
---|---|---|
FX(国内口座) | 雑所得 | 分離課税5% |
株式の配当金 | 配当所得 | 分離課税5% |
株式の売買益 | 譲渡所得 | 分離課税5% |
不動産の家賃収入 | 不動産所得 | 総合課税10% |
不動産の売買益 | 譲渡所得 | 分離課税5%または9% |
上表に挙げた副収入で言い訳しても「いやいや、所得区分や住民税額がおかしいよ!」と言われかねません。



住民税額が高額だけど、副業でもしてるの?



FX(国内口座)で資産運用しているだけです!(バシッ!)



FX(国内口座)って分離課税で住民税率 5%だよね?あなたの所得額に対して住民税額が合わないよ?



…(汗)
上記のように突っ込まれる可能性があります。
ただし、所得の内容まで突っ込まれるには所得区分と所得額がバレていないとできませんが、前述のとおり勤務先にバレる情報の範囲は基本的には住民税額だけなので、あまり想定されないシチュエーションですね。
- 国内口座でのFX運用は分離課税です。総合課税となるのは海外口座での運用に限ります。
- 株式投資の副収入は、口座種類により確定申告手続きが不要な場合もあります。
まとめ
住民税額によって副業が疑われることに備えて、念のため言い訳を考えておきましょう。



住民税額が高額だけど、副業でもしてるの?



住民税が高額なのはポイ活による所得があるためです!副業に該当しない範囲でポイ活しています!



住民税が高額なのは仮想通貨による所得があるためです!



住民税が高額なのはFX(海外口座)による所得があるためです!
上記のような言い訳が成立します。
とはいえ、確定申告で住民税の納付方法を「自分で納付」としておけば、副業バレすることはまずありません。
それよりも副業しているところを目撃されたり、口外してしまうことによる副業バレの確率の方がよっぽど高いので、基本的な対策はあらかじめ取って副業に取り掛かりましょう。
副業が会社にバレるのが心配な方は、以下の記事も参考にしてください。


副業バレにはすべて対処方法があり、自身の対応次第で副業バレの可能性を消し去ることができますが、それでも心配な方は、収益化せずにブログ記事を書いてみることをオススメします。
ブログ運営では、数ヶ月は少量のアクセスしか見込めません。
収益化しないブログ執筆であれば日記を書いているのと一緒です。副業にはなりません。
まずは1年ほどやってみて、アクセスの集まり具合からアフィリエイトで収益化を検討しても良いでしょう。
その間にブログ運営のコツを掴み、副業バレへの不安を解消しましょう。






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